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■ 慈悲/Compassion

「ねーねー、こないだGM挙式したリエにブリでばったり会っちゃって!すごいおまじない、聞いちゃったの!!」ハヅキが興奮しながら家に飛び込んできたと思ったら、いきなりすごい勢いで話はじめた。
「おまじない?」
「うん!もー、『内緒だよ』って言われたけど、そのおまじないやったら、すっごくいいかんじになっちゃってー。GM挙式できたのも、おまじないのおかげだって!!!」
ハヅキは目をキラキラとさせている。
「・・・ふーん・・・」
私はバルクオーダーブックに目をもどす。
「ねぇ、聞いてよぉ〜」
ハヅキはふくれて、両手を振り回す。
「結婚なんていいもんじゃないわよぉ。ウチみりゃわかるでしょ?」
「えー。でもでも!!!相手によるんですよ!それは!」
「ほぉ」
バルクオーダーブックを、バフンと閉じて両手で持ち上げる。
「じょうだんですって!ね、ねーさんとこ、いつも仲良しでうらやまし・・・」
「フン。ケンカしたら家出しちゃって、昨日からずっと帰ってきてないわよ・・・」
「じゃ、気晴らしにぜひ!おまじないやるの、手伝ってー!クリスマスも近いし!お願い!!」
「気晴らしって、あんた・・・」
「だって、どうせルグリスさんと一緒ですよ〜。一人で行きづらいなら、あとで一緒にいってあげますよ、おまじない終わってから!まずはバッカニアーズ デンにいきますよー!Vas Rel Por」
ハヅキはゲートを開いて飛び込んだ。
私はため息をついて、バルクオーダーブックを机の上に置いて、ハヅキのあとを追ってゲートに飛び込んだ。ゲートを抜けるとデンの銀行の前で、ハヅキがあたりを見渡していた。
「・・・えっと。門って知ってます?なんかね、大陸に繋がる門があるって・・・」と言い出した。
「ああ。すぐそこよ?」
北に向かって道沿いに歩くとすぐに、青い岩でできた門がある。
「これ?」とハヅキは門をくぐる。
私もくぐると、南国の木々から一転して、オークなどの木々が茂る大陸の街道にでる。
街道の道しるべを眺めて、「この道かぁ・・・」とハヅキはつぶやいた。
「おまじないって、いったいどーやるのよ?」
「とりあえず、デンからスタートなので戻ります!あとは夜になるのを待つだけです」
ハヅキはスタスタと、苔むしたような石の門をくぐって、デンへ戻る。
私も仕方なくついていく。
「なんか不思議なかんじだし・・・おまじないも、なんか効きそう!」
ハヅキはピョンピョンと飛び跳ねた。
「それで、いったいどーいう・・・」
「説明しよう!」
ハヅキは指をたてて腕を上げた。
「・・・帰って、よい?」
「あーん、いやいやぁ〜」
私の服の裾をハヅキは掴んだ。
「聞いて聞いてー。あのねあのね。さっきの門をくぐるのね」
「うん」
「くぐって、むこうにでたら、街道を北にずーっと走って、北の砂漠にある慈悲神殿まで行くの!で、神殿についたら、『グエノのハープ』を弾くの」
「グエノって、あの、MAFの白いハープ?」
「うん。それそれ!で、弾き終えたらまた、ベスパー西の門まで走って、デンに戻るの」
「それって、何か意味あるわけ?」
「ありありだよ!んとね。まずね、門は運命をつなぐ門なの!!でね、慈悲の神殿のアバタールコンパニオンっていうのが、『イオロ』っていうヒトなんだって。『イオロ』の奥さんが『グエノ』で、すっごく仲良しの夫婦なんだって。だから『グエノのハープ』を弾くと、いいかんじの効果があるらっしーのだ!神殿のシンボルはハートマークだし!!ハートと運命をつないで走るのです!!」
「・・・はぁ。なんかいろいろまざって、怪しいよ・・・」
「きっと秘伝のタレ状態でよく効くよ!」
ハヅキは頬を赤らめて、目をキラキラさせている。私はあきらめて手伝うことにした。
「じゃ、手伝うって、一緒に走ればいいの?」
「ううん。んとね、走るのはね、一人で走らないといけないの。ペットに乗るのもダメなんだって!お手伝いはね、街道とか砂漠にモンスターがいっぱいでるんだって。だから、倒してもらうとか、回復魔法かけてもらうといいよって、教わったの。時間制限あるから、一人だとつらいんだって」
「時間制限?」
「デンが夜になったらスタートして、夜のうちに、3往復して、デンで夜が明ける前に帰らないと、ダメなんだってー・・・というわけで、お願いっ!もうすぐ夜だし。ハープは持ってきてるし〜」
「うーん。じゃ、オスタで走って先回りして、モンスターを倒しておいて、あんたが来たら、回復魔法の一発でも打ち込んでやればいいわけね?」
「わい。お願いしますー。あ、夜だ!いっきまーす!!」
ハヅキは叫んで門をくぐって、いってしまった。
私は慌ててバックパックのオスタードの像で、エターナルのオスタードを呼び出してまたがり、あとを追って走り出した。オスタードの足は速く、あっという間にハヅキに追いついて追い越した・・・モンスターを倒しておけばいいのよね、と攻撃呪文でせっせと倒しながら進みはじめたら・・・最初はあまりいなかったのが、どんどん数が増えてくる。そのうえ、盗賊団ご一行様が来たり、強くはないのだけど、とにかく数が多くてマナの回復が持たない。
手間取っていると、ハヅキが走ってきた。
慌てて回復魔法を唱えようとするけど、マナが足りない。
「あー、もう!!!」走ってハヅキを追い越し、すこしいったところに、回復ポーションをいくつか置いて回復魔法を唱えてスタンバイして、走ってきたハヅキに回復魔法をかける。ハヅキはポーションを飲んで、「ありがとぉー」と言いながら走っていった。そのハヅキのあとをモンスターが攻撃しようと追いかけてくる。
身を隠す魔法を唱えて走り、ハヅキにかける。走るハヅキの姿が一瞬隠れたことで、モンスターたちは不意をつかれて追いかけるのをやめる。
・・・なにげに、このおまじない、結構キツイのかも?と思いながら、ハヅキを追いかけると、ハヅキは歩いていた。「どうしたの」と声をかける前にハヅキは「赤ポー・・・」とつぶやいた。
スタミナを消耗しきって走れなくなったらしい。
私は少し走って、道に赤ポーションを置いた。飲んだハヅキはまた走り出した。
突然だったから、いつものポーションしか持ってきていない。数、足りるかな・・・と思いながら私もまた、走り出すと、砂漠が見えた。あの砂漠の泉に、神殿はある。
「うげ」
砂漠に入って、思わずつぶやいてしまった。
毒をもつサソリやらオークやら・・・やっかいな敵がてんこもり!
こいつらを全部倒すなんて無理・・・!しかも家がたくさんあって、視界も悪い。
せめて、神殿のまわりだけでも・・・と神殿で敵を倒しつつ、回復の黄色ポーションとスタミナの赤ポーションを置くと、ハヅキが大量のモンスターに追いかけられながら、走ってきた。
慌てて「An Lor Xen」と身を隠す魔法を唱えてハヅキにかけて、フィールド魔法でモンスターをさえぎる。
アンクの前にたどりついたハヅキはお辞儀をしてから、演奏をはじめる。
こんなにイライラしながらハーブの音色を聞いたのは初めてだ。
演奏を終えるとハヅキはまた、「ありがと〜」と言いながら駆け出した。「もう何も言わないでいいから、走れ!」って返事をして、またさっきの道を戻って・・・門まで!

気づいたら夢中だった。
モンスターは倒してもキリがないので、ハヅキのコンディション維持を目指すが、ポーションが2往復目の帰りで切れてしまった。でもあと、もう1往復だし・・・慣れてきたし、きっと!
砂漠に着いて、神殿で3度目の演奏に成功して・・・あとは帰るだけ!間に合うかな・・・と、走り出して、そのとき、建物の影で見えなかったサソリに刺されて毒を受けた。
ポーションを飲もうとして・・・切らしていたことに気づいて、慌てて解毒魔法を唱えようとした私に、オークやら砂魔が集まってきて攻撃を・・・「ねーさん!」ハヅキが私の異変に気づいて駆け寄ってきた。「ダメ!」慌てて逃げようとしたものの・・・時はすでに遅く、私は死んでしまい、冥界の暗闇に包まれていた。
「ね、ねーさ・・・An Corp・・・ウっ」ハヅキは、私の蘇生をしようとして、モンスターに襲われる。
「バカ!走れ!!」
時はすでに遅く。ハヅキも冥界にやってきた。
「もうバカ!!あとちょっとなのに!急いでっ!!」と怒りながら走り出す。
「はう?」
「ヒーラーを見つけて、生き返れば、間に合うかもしれないでしょ!!」
「はいー」
砂漠をでて森を走って、どうにかヒーラーさんを見つけて、蘇生をしてもらった。
冥界からでると、朝の光が眩しかった。もう夜は明けていた。
「まにあわなかったねぇ・・・」ハヅキがぼやいた。
「でも、ねーさん、2往復半までしたし!きっと効果あるよ〜。ありがとぉ。あ、回収いこう・・・ねーさん?」ハヅキはニコニコと、歩き出そうとして、私を振り返る。
「効果?最後までできなかったのに、あるわけないわよ!!悔しくないの!?」
ハヅキはキョトンとしている。
「こんなに朝日が眩しかったことってないわよ!!特訓よ!!」
「ね、ねーさ・・・」
「コーチとお呼び。モンスターの対策と装備も考えないとだし、ステータスにスキルの調整と・・・やることはたくさんあるわよ!そうと決まったら、さっさと回収しに行くわよ!」
「ね・・・こ、コーチ、おいてかないでー」
「とろとろしてると、クリスマスに間に合わないわよ!!」
そして私はハヅキと走り出した。