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■ 誠実/Honesty

「おや、まだ起きてたのかい?」
「え。あ、もう明日のしたく、できたから、寝ます!」
あわてて、ケーキミックスやクッキーミックスを棚にしまう。
「むりしなくてええからの、くまっこや。わしは先に休んでおるよ」
「おねえさん、おやすみなさいー」
おねえさんは、あくびをしながら扉を閉めた。
わたしはこっそり、ため息をついて、カウンターの隅の青リンゴを見つめる。

去年のクリスマス前、お菓子を作るために旅をしていて、おねえさんと呼ばないと怒るおばあちゃんに出会ったの。
あれからお菓子づくりが大好きになって、おねえさんのところへ習いに通うようになりました。もっと、たくさんいろんなお菓子を作りたかったし。
そしておねえさんと一緒に、小さなお店を開いたの。
お店を開いてからは、お菓子を作るだけじゃなく、飾り付けの勉強もあるし、お店にずっといることがおおくて、あまり家に帰らなくなった。家にいても・・・気づくと、さるっこのことを考えちゃうし、遊びにこないかなって、待っちゃうから。
でもお店にいても、ふとしたときに、カウンターのはじっこに飾らせてもらってる青リンゴを眺めていたりする。去年のクリスマスに、さるっこにもらった青リンゴ・・・。

「あら、青リンゴじゃないの!サベージペイントはございませんこと?」
翌日、夜更かしのせいで、ぼんやりと店番をしてると、ニワトリのお客様に声をかけられた。
「さべーじ・・・?」わたしが首をかしげてると、おねえさんが「ああ。ごめんよ、ウチはお菓子のお店だからやってないんだよ」と返事をした。
でも、お客様は青リンゴを見つめながら「あらぁ、残念だわぁ・・・いただきたかったのに。・・・これで作っていただけないかしら?」っていうから、「だ、だめ!これはダメです!!」って、わたしはあわてて青リンゴを抱きかかえたの。
「ははは、ごめんよ。そいつは売り物じゃなくてね」って、おねえさんが笑うと、「フン。ケチですのね。結構ですわ!」とお客様はプンプンと帰っちゃったの・・・。
「・・・おねえさん、ごめんなさい」
「いいんだよ。ウチはお菓子の店なんだし、気にするんじゃないよ」おねえさんは笑う。
「でもね、さべーじ・・・ってなぁに?」
「ああ。青リンゴと小麦粉で作る、体にサベージの化粧をする薬さ」
「知らなかった。教えてくれてありがとぉ、おねえさん」
「いやなに。材料があれば、作って教えてやるがのぉ・・・」
「これはだめなのー!」って、青リンゴを抱えたまま、おねえさんと笑いあった。

それから数日後のお休み。
パンとお菓子とフルーツをバックパックにつめて、香りのよい花を頭に飾って、お気に入りの服を着て鏡の前でぐるぐるまわって、チェックして。
ドキドキしながら、机の上のルーンをあらためて見つめる。そのルーンに刻まれた座標は、さるっこの家。青リンゴのことを聞きたいし・・・でも留守かもしれないし、会えないかもしれないし・・・。
息を大きくすってから、「Kal Ort Por」って唱えて、ルーンを握り締めて、目をきゅっとつぶった。まぶたの裏が一瞬、きらきらって光って、ふわりと体が浮いて、すとん、と落ちた。
「くまっこ?」・・・ずっと聞きたかった声がする。目を開けると、さるっこがいた。
「さるっこ!おひさしぶりー!」って駆け寄る。
さるっこは疲れた顔をして、なんかやつれてた。
「ひさびさだねぇ・・・1ヶ月も秘薬屋に泊り込んでたからなぁ」
「なんか疲れてるっぽいよ?だいじょうぶ?」
「うーん・・・ずっとパパと戦っていたから、つらかったし・・・あ、なんか、くまっこからいいにおいがする」といって、さるっこはクンクンってしてから「お菓子、持って来てくれたの?たべたいー」って、にっこり笑ってくれた。そのとき、家から別の声がした。
「おーい、さるっこー。なにしてるんだ・・?お、くまっこ!元気にしてたか?」とりさんが家からでてきた。
「おひさしぶりです、元気です〜・・・」ぺこりと頭をさげて、とりさんに挨拶してると、さるっこが、わたしの手をひっぱって、「くまっこ、お菓子持って来てくれたの♪早く食べよ〜」って、家にはいる。テーブルの上には、いろんな武器や防具が置いてあった。
「昨日、DOOMから帰ってきて、荷物の片付けはじめたとこだったの」と、さるっこがテーブルの上を片付けながら言った。
「おかえりなさい!忙しいとこ、おじゃましちゃって、ごめんなさい」
「それより早くたべよーぜ!」とりさんが、わたしのバックパックをつっつく。
テーブルに、持ってきたパンやお菓子を並べてると、さるっこと、とりさんが「おお」「うまそー」って歓声をあげてくれて、「どうぞ」って言ったら、すぐに「いただきますー」って、さるっこと、とりさんは一心不乱に食べ始めた。

「・・・はふ〜。ごちそーさまでした!」って、さるっこが満足げに言う。
とりさんも満足そうに「うまかったよ」って誉めてくれるから、ちょっと照れながら、お茶をだした。たくさん持ってきたつもりだったのだけど、あっというまにパンもお菓子もたいらげられてしまった。
「くまっこ、おねえさんのところで料理のお勉強、がんばってるんだね!」
さるっこが言うので、わたしはうなずいた。とりさんは「おねえさん?ほぉ〜・・・料理の先生のおねえさんか・・・」ってつぶやいて、なにか考えてる。
「うん。お店はじめたし、がんばってるの・・・そうそう、勉強に青リンゴが欲しいの」
「青リンゴ?あれってお菓子になるの!」
さるっこは目をキラキラさせたけど、「違うの。お菓子じゃないけど、料理でお薬が作れるんだって。作ってみたいのだけど、青リンゴがなくて・・・」って説明すると「なーんだ」って、つまらなさそうに返事をする。
でも、とりさんは目をキラリとさせて「サベージペイントか」。
「うん。それそれ!」って返事したら、「オレもそいつが目当てで青リンゴを・・・なつかしぃな。料理の勉強に必要か・・・やっぱ、おねえさんも欲しがってるのか?」って、ちょっと真剣な顔で聞かれた。
「うん・・・あったら、教えてあげれるのに・・・って」
「おし。さる!メシのお礼に、青リンゴとりいくぞ!」とりさんは、はりきって言ってくれた。
でも「ふああ・・・今から?」って、さるっこはあくびしながら返事して、眠たそう。
「あ、急がないよ!いつでもいいし・・・わたしもいってみたいな」
「おう。つれっていってやるよ!さるが寝ちゃいそうだから、明日でいいか?」
「はい!おねえさんにも声をかけてみます」
「そうかそうか。じゃ、ブリのムーンゲートで正午でどうだ?」
「はい。よろしくお願いします!今日はこれで失礼します」
とりさんは「おねえさんによろしくな」って、ニコニコしてくれて、さるっこは「また明日〜」って、手を振ってくれた。

そして翌日。
「ムーンゲートで出かけるなんて久々じゃわい。ふぇふぇふぇ」
「わたしもです♪」
ふたつ返事でOKしてくれた、おねえさんと二人で、ムーンゲートへむかうと・・・「あ。さるっこー!!」
ムーンゲートの前で、さるっこと、とりさんが待っていてくれたの。
さるっこが「くまっこ♪」って、手を振ってくれた、そのとき、とりさんが「おねーさんって・・・ババァぢゃねぇか!」って・・・!
た、大変・・・!って思ったときにはすでに手遅れで、「なんだとこの、ニワトリがぁぁぁぁ!」「ババァはババァだろうがゴラァ」って、とりさんとおねえさんの間には、今にもチェィンライトニングがおちそう!
「お、おねぇぇぇぇさん・・・」止めようとしたけど、おねえさんは「Vas Flamっ!」って、唱えて、とりさんは「In Nox」って唱えて・・・!
火の玉がとんで、とりさんにぶつかって羽がちょっと焦げたけど、とりさんは「In Mani」って唱えて焦げをなおしたの。
おねえさんは、顔が緑色になって苦しそうだったけど、すぐにバックパックからオレンジポーションをとりだして、ゴクリと飲みほすと、なおったの。
「やりおるな・・・!」
「やるじゃねぇーか」
おねーさんと、とりさんは、つぶやいて、にらみあって・・・「だめぇぇぇぇぇ!」って叫んで、わたし、おねえさんに抱きついたの。
「邪魔するんじゃないよ!くまっこ!」
「でもでも!せっかくせっかく・・・うわーん・・・」
だって、せっかくのおでかけなんだもん。楽しくしたいんだもん。
なのになのに、すごく悲しくて、我慢できなくて泣いちゃったの。
「くまっこー!泣くの、だめー!」ってさるっこが頭をなでなでしてくれた。
「・・・ちっ。仕方ねぇな。泣いてるとおいてくぞ!」
「泣かしたのはおまえさんだろ?」
「いちいちむかつくババァだなー。とっとといくぞ、ほら!」って、とりさんとおねえさんは言い争ってたけど、「くまっこ、いこー!」って、さるっこが手をひいてくれて、みんなでムーンゲートをくぐったの。
くぐった先は・・・白い小さな綺麗な建物で、森が広がってたの。「わぁ」って思わず言ったら、「いいとこでしょ」って、さるっこ。
「うんうん!」
「でも危ないところもあるから、はぐれちゃだめだよ」って、さるっこが手をつないでくれて、そのまま歩き出したら、「とっとと行くぞゴラァ」「くまっこをいぢめるんじゃないよ!」「いぢめてねぇだろ、ババァ!」「焼き鳥にしてくれるわぁ!」って、とりさんとおねえさんが小突きあいながら、走っていくので、あわててついていったの。

森を抜けて、ジプシーキャンプで一休みして、山のトンネルをくぐると、大きな黒いお城があったの。
「あそこなの?」って聞いたら、「違うよ」って答えるさるっこに、見たことのないモンスターがおそってきたの!
でも「ウリャーーー!」って、モンスターをすごい勢いでさるっこが倒したの。
「わわわ。大丈夫?」「うん。ここから先は、ちょっと危ないからね」さるっこが、手をにぎりなおしてくれて、ドキドキしたの。
とりさんとさるっこが、モンスターを倒しつつ、みんなで南へ向かうと、竹づくりのおうちがいっぱいあって、白い人がたくさんいて、襲ってきたの!
「この人たちが青リンゴ、持ってるの。でも、お話し合いじゃくれないから、くまっこは、ここで待っててね」
「わしも、くまっこと一緒におるわい」って、おねえさんが隣にいてくれたの。
「いくぞ、サル!トリャーーーーーーー!」「ウリャーーーー!」って、とりさんとさるっこは叫びながら、白い人と戦いはじめたの。
すごい勢いで、バンバンと倒して、ときたま青リンゴのたくさん入った袋を「持ってて」って渡すとき以外、ずっと戦って・・・!
「ほぉ。なかなかやるじゃないか。むかぁし、わしは炎の料理人として戦っていたころがあってのぉ・・・まぁ、あのころのわしに比べたら、まだまだだがな」って、おねえさんは遠い目をしながら、ときたま、襲ってくるモンスターを倒してたの。
わたしはドキドキしながら、見守ることしかできなくて、青リンゴのはいった袋を、ぎゅっと抱いてたの。

そして、青リンゴがたくさん集まったから、帰ることにして、みんなでトンネルまで走って、ジプシーキャンプで一休みしてから・・・ムーンゲートへ向かったの。
もうすぐ森を抜けるところで、ムーンゲートのほうから女の人が走ってきて、息をきらしながら、「助けてください」とつぶやいてうずくまってしまったの。女の人は傷だらけ!
「In Vas Mani」って、とりさんとおねーさんが唱えると、女の人はキラキラとした光につつまれて、傷が治ったの。「どうしたの?」ってさるっこが聞いたら、「ありがとう。古代龍のパラゴンがムーンゲートにいます。私一人じゃ倒せなくて・・・」。
「ほぉ。パラゴンか・・・オレらが倒してやるよ。いくぞ、さる!」って、とりさんが張り切っていったら、さるっこも「おんなのヒトには親切に!だね♪」って、走っていった。
「くまっこ。これを使うのじゃ」真剣な顔をしたおねえさんに巻物の束をどさっと渡された。
「パラゴンというのはイルシェナの大地の力で、より強くなったモンスターじゃ・・・わしらもいくぞ!」とおねえさんが走り出したので、わたしもあわててついていく。
森をぬけると、ムーンゲートのある小さな祠の前に、とても大きな金色に輝く龍がいたの!
とりさんとさるっこは、「うりゃー!」「とりゃー!」って叫びながら戦っているけど、あっという間に傷だらけになって・・・!
「さ、さるっこ!」って悲鳴をあげた私に、おねえさんは「In Vas Mani」「Rel Sanct」と魔法を詠唱しながら「さっきの巻物を開いて、サルに使うんじゃ!」って怒鳴ったの。
巻物を開くと、「In Vas Mani」っていう文字が光って、キラキラとした光がわたしの手に集まって、さるっこへ向けて念じると、キラキラとした光がさるっこを包んで・・・「その調子じゃ!」っておねーさんが言うから、必死で繰り返したの!
夢中で巻物を使って、どのぐらいたったかな・・・。
女の人もとりさんとさるっこと一緒に戦ってくれて、ついに古代龍は、ドサ・・・っと倒れたの!!
「ふ〜。やれやれじゃ。疲れたの」とおねえさんは、ほっと息をついて、わたしは「さるっこー!」って叫びながら、さるっこのとこへ走っていった。
「援護してくれてありがとぉ。助かったよ」さるっこは笑顔でいってくれて、わたしは涙がでてとまらなくなっちゃったの。
「くまっこ?どしたの?」って、さるっこはオロオロしながら「泣くの、ダメ!」って怒った。
「・・・だって、だって、だって!修行があるとか、DOOMにいくとか忙しいからって、いっつもいっつもずーっとずーっと会えなくて淋しいし!!久々に一緒におでかけしたら、なんか強くなっちゃって、わたしの知らないさるっこみたいで淋しいし、おんなのひとには親切とかいうし、もぉやだー!!」って、泣きながら言いたいこといっぱいいってるうちによくわかんなくなって、さるっこのこと、ペシペシ叩いたの。
「ごめんねごめんね」って、さるっこは困った顔して頭をなでてくれたけど、「ちがうもん!どぉしてあやまるの?」本当、さるっこってば、わかってくれない。
「くまっこだって、お菓子つくるのとか上手になったろ?」とりさんが横に来た。
「料理が上手になりたいって、思ったんだろ?サルだってな、強くなりたいって、思ったんだよ」
「でもでも、わたし、さるっこに会いたかったもん!」
さるっこは、わたしの手をにぎって「あのね、去年、青リンゴをとりにいったときと、同じ気持ち。素敵なモノを見つけて、とってきて、くまっこにあげる。でもまだ、DOOMでは手にはいらないの。だけどクリスマスまでには、がんばるから・・・DOOMは世界で一番すごいモノが手に入るところだって、とりさんに教わったの・・・」
さるっこが話終わらないうちに、おねえさんが、くわっと目を見開いて「つまり、くそトリがそそのかしてるのが悪いんじゃないか!!」って怒鳴ったの!
「なんだとババァ!」って、とりさんも、くわって顔をして、言い争いをはじめちゃったの!
「あの、ありがとうございました・・・それでは・・・」って、古代龍と戦った女の人がムーンゲートへ向かって歩きはじめたら、とりさんが飛んでいって「待ってくださいお嬢さん!これも何かのご縁です。一緒に食事でも・・・」。
とりさんの背後でおねえさんが「Kal Vas Flamっ!」って唱えたら、とりさんの上に火柱が建ったの!「あちぃーーーー!」叫びながら燃えながら、とりさんは森のほうへ走っていったの!
「お、おねえさんやりすぎ!!」おねえさんの服の裾をつかんで、追いかけないように捕まえたけど、「くまっこも目ェ覚まさないと打ち込むよ?」おねえさんの怒りは収まらない・・・。
「くまっこ、ごめん!」って言いながら、さるっこはとりさんのあとを追いかけて走り出したの。「とりさんによろしくってー!」って、わたしが叫んだら、さるっこは立ち止まって振り返って、「クリスマス前に、また手紙するからー!またねー!」って手を振ってから、走っていっちゃったの。
「このバカたれ」っておねえさんに頭をコツンとされたけど、「えへへ」って笑っちゃった。
「ちーっとはマシになるとええがの。帰るよ」「はーい」

今年も楽しいクリスマスになりますように!