■ backpack art - by FLOT
物語とバックパックアートなmerry yasagureらしさが炸裂のタイトルアートです! 右の赤いバックパックには、さりげなくバックパックアートがはいってました。 |
おめでたいかんじです。 右は年始ご挨拶、干支の犬バックパックアートです。 お正月のご挨拶をしてました。 |
■ 八徳物語 - by mya-a. |
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■誠実/Honesty 「おや、まだ起きてたのかい?」 「え。あ、もう明日のしたく、できたから、寝ます!」 あわてて、ケーキミックスやクッキーミックスを棚にしまう。 「むりしなくてええからの、くまっこや。わしは先に休んでおるよ」 「おねえさん、おやすみなさいー」 おねえさんは、あくびをしながら扉を閉めた。 わたしはこっそり、ため息をついて、カウンターの隅の青リンゴを見つめる。 去年のクリスマス前、お菓子を作るために旅をしていて、おねえさんと呼ばないと怒るおばあちゃんに出会ったの。 あれからお菓子づくりが大好きになって、おねえさんのところへ習いに通うようになりました。もっと、たくさんいろんなお菓子を作りたかったし。 そしておねえさんと一緒に、小さなお店を開いたの。 お店を開いてからは、お菓子を作るだけじゃなく、飾り付けの勉強もあるし、お店にずっといることがおおくて、あまり家に帰らなくなった。家にいても・・・気づくと、さるっこのことを考えちゃうし、遊びにこないかなって、待っちゃうから。 |
■正義/Justice 目を閉じているのに、キラキラとした光が、まぶしい。 ハッと、目を覚まして身を起こしてベットの枕もとに置いておいたコミュニケーションクリスタルを手でつかむ。 クリスタルの中で、派閥の暗号のルーンがきらめいている。 ヒトツは『議事堂』、もうヒトツは『集合』のルーン・・・。 「・・・マジかよ」 噂では知っていた。だけど今、現実に・・・慌てて装備を整え、ムーンゲートへ向かって馬で駆け出す。 まだ朝の早い時間なのに、ムーンゲート近くの商店街の人たちが、今夜のお祝いのための売り出しの支度をはじめていた。今日はクリスマスイブの祝日。そんな日に戦うためにフェルッカへ向かう自分をどうかなと思いつつ、ムーンゲートをくぐって、マジンシアへでる。海のにおいがする暑い空気のなか、背の高い熱帯の木々の下を駆け抜けて街へぬける。マジンシアは島にあり、明るい黄色の砂岩でできた建物が並ぶ、綺麗な街だ。そして街の南東の海の上に、所属するメイジ評議会の本拠地、議事堂がある。 議事堂へ架かる橋を渡ろうとしたとき、姿は見えないが人の気配を感じた。 |
■名誉/Honor 荒れた手にクリームを塗る。 クリームの濃いにおいの隙をついて、今朝、咲いたばかりの花の香りが漂ってきた。咲いたばかりの花はしっとりとうるおっている。 そんな花を見るだけで、疲れをすべて忘れていたころもあった、でも今は。 乾いてヒビの入った手を眺めて、ため息をつく。 今でも、そんな花は好きだ。 でも、いつからか疲れは残るようになって。 花ばかり見てきて飽きてきたのか、それとも・・・考えないようにしていたけど、いつからか・・・好きなことだから続けてきたはずだったのに。 いつのまに、どうしてなのか、 自分でもわからない、答えのないこと。 それが好きなことなのだと思うけど、 好きでないことも同じこと、で。 |
■慈悲/Compassion 「ねーねー、こないだGM挙式したリエにブリでばったり会っちゃって!すごいおまじない、聞いちゃったの!!」ハヅキが興奮しながら家に飛び込んできたと思ったら、いきなりすごい勢いで話はじめた。 「おまじない?」 「うん!もー、『内緒だよ』って言われたけど、そのおまじないやったら、すっごくいいかんじになっちゃってー。GM挙式できたのも、おまじないのおかげだって!!!」 ハヅキは目をキラキラとさせている。 「・・・ふーん・・・」 私はバルクオーダーブックに目をもどす。 「ねぇ、聞いてよぉ〜」 ハヅキはふくれて、両手を振り回す。 「結婚なんていいもんじゃないわよぉ。ウチみりゃわかるでしょ?」 「えー。でもでも!!!相手によるんですよ!それは!」 「ほぉ」 バルクオーダーブックを、バフンと閉じて両手で持ち上げる。 |
■霊性/Spirituality 「教養がない!だぜ、教養!!教養とかいわれてもな〜、でもさ、すげぇむかつかない?」 「確かになぁ・・・きょーよーねぇ。ララちゃんも言うようになったねぇ・・・」 サーペンツ・ホールドの飲み屋で、オレは昔からの友達のルグリスに愚痴っていた。 「言うようになったどころじゃねーよー。言いたい放題を突破して、いつでもケンカ売りっぱなし状態よ?マジやってられねー」 エールのジョッキを飲み干して、ドンとおいて、「オヤジー、同じのもう一杯ねー」と注文する。 「ほらまたぁ、飲みすぎると、ララちゃんが」 「あーもういいよ、マジ、ぶち切れた。もうね、別れます。今回は、ほんとぉ〜に、別れます。別れるから知ったこっちゃねぇー!」 ちょうどいいタイミングで、「あい、おまち!」と店員が追加のジョッキを持ってきた。 オレはジョッキを手にとり、ぐいっと飲んで、「ぷっはぁ」とため息をついた。 「あんまいいたくないんだけどさぁ、こないだ、ウチのやつのとこにララちゃん来てボヤいてたぜ」 |
■献身/Sacrifice 「我が身のフェイムを捧げ奉る・・・堕落した魂を救い給え」 翼を広げた悪魔は、剣を頭上に持ち上げ、牙をむいている。 私はすばやくアンクの形に手で印を切り「・・・愛の名の下に」と唱えた。 悪魔は剣を振り下ろしたが、私が身をそらしてかわした、そのとき、悪魔に光が降り注ぐ。 「ウヲ・・?」 徳の力により、悪魔の魂が浄化され、天に召されるのだ。いつもならそのまま、悪魔が消滅する。 なのに今は、悪魔の姿が消えたあとに・・・一人の女性が立っていた。 彼女は私を見つめ、「助けてくださって、ありがとう」とスカートをつまんで、お辞儀をした。 彼女はモンスターが徘徊する迷宮においては、無防備な薄いドレスをまとって、素足の見えるサンダルを履いていた。私はただ、呆然と見つめた。 「私は堕落した魂に囚われていた者・・・」 |
■武勇/Valor シャツに長いスカート、エプロンをつけた、いかにも生産者といった服装の女が馬に乗って駆けていく。 オレは攻撃呪文を詠唱し、馬の腹を蹴り、女のあとを全速力で追いかける。気づいた女も馬にムチをいれるが、オレが魔法を打ち込むとよろけた。その隙を逃さず、剣で斬りつけ、移動呪文を必死で唱えはじめた女にとどめをさす。主を失った馬が悲しげに鳴くのが耳障りなので、馬も殺す。 血まみれの女の死体から、バックパックを拾い上げると重たい。鉱石や木材、それとも売ったあとの金か?開けてみると・・・畑の藁ばかり詰まっていた。 「ガッカリかよ!」 |
■謙譲/Humility あちこちを散歩するのが好きだ。 素敵な家や小さなお店を眺めたり、花を見つけたり・・・あてもなく、ふらふらと。 その日も気が向くまま、馬で走っていたら、海にでて、そのまま海沿いを走っていた。ふと、海へつきだした岬に、ユラリと半透明の影が揺れているのに気がついて、近寄ってみた。 そこには、馬の幽霊が一匹、海を向いてたたずんでいた。 ときたま、ヒヒーンと鳴く。海へむかって蹄をあげるが、そこから動かない。 私は馬から降りて、そばに歩みよる。 海からの風がすこし冷たくて、湿った草が足にまとわりつく。 |
⇒あとがき |
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